2019年6月25日、アメリカのトランプ大統領が日米同盟の根幹である日米安全保障条約破棄の考えを示したと報道されました。トランプ大統領が最近側近に、アメリカが攻撃された場合に日本の自衛隊が支援することは義務付けられていないことなど含め、あまりにも負担が一方的だと感じていると伝えました。
この報道に対し菅義偉官房長官は、記者会見で「報道にあるような話は全くない。ホワイトハウスからも米政府の立場と相いれないものであるとの確認を得ている」と話しています。


アメリカから完全なる独立を果たす時がやってきたのです!
いざゆかん!

いや、そんな呑気な話じゃないから!
この70年以上、日本が戦争に巻き込まれなかったのは憲法9条のおかげなんかじゃなく、ほとんどこの日米安保のおかげといっても過言ではないよ。

え、なんでなんすか?

それを知るためには、そもそも日米安全保障条約がどのようなもので、どういった性質があるものなのかをわかりやすく確認していこう!
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日米安保条約をわかりやすく!

日米安全保障条約とは、1951年に日本とアメリカとの間で結ばれた条約です。
第二次世界大戦後、敗戦した日本はアメリカを主とする連合国軍の占領下でしたが、1951年にこの日米安全保障条約に調印し、翌年に発行されると同時に連合国軍からの占領政策も終了しました。

戦争が終わって数年間は、日本は文字通り「占領」されていたんだ。
でも、1951年にサンフランシスコ平和条約が発行され、「占領」は解かれたんだよ。そしてこの条約と一緒に発行されたのが、「日米安全保障条約」。
占領は解かれ、これから日本とアメリカは安全保障条約のもと、一緒にやっていこう!という運びになったんだ。

それで何が変わったんですか?

まずは日本が独立できたってことが大きいよね。
でも実際、「占領軍」としてそれまで日本にいた米軍たちは、「在日米軍」として今でも残り続けているんだ。

え、ときおり話題になる在日米軍って、もともとは占領軍だったんですか。
だらかよく左翼系の方々は「在日米軍出てけー!」とかやっているんですね。
ちなみに、1951年の日米安全保障条約の内容には、今のように「アメリカが日本の防衛をする」というものがありませんでした。そして反対に「日本で内乱が発生した際に米軍が出動できる」という内容が記載されていたのです。
これだと正直、占領軍のままじゃん!ってことで、1960年に岸信介総理(安倍総理の祖父)が条約改定にこぎつけ「アメリカは日本の防衛をする」「日本で内乱が起きても米軍は介入できない」というものにしました。
ということで、1951年の日米安全保障条約を「旧安保」、1960年の日米安全保障条約を「新安保」と呼ばれます。
日米安保条約の全文から問題点を解説!

(出展:外務省HP)
日米安全保障条約は全部で10条から成り立っています。意外と少ないですね。
以下、全文です。
第一条
締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。第二条
締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。第三条
締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。第四条
締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。第五条
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。第六条
日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。第七条
この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。第八条
この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。第九条
千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。第十条
この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
最後の10条に「この条約締結から10年経過したら、どっち側からでも”やめる”って言えるから!」と書いてあります。
そうです。どちらかの国が破棄したいといえば、この日米安全保障条約は破棄できるのです。
そして、日米安全保障条約の一番の問題点は、どの国も自分たちで必死にやっている「国防」をアメリカに大きく依存している点です。
ちなみに主要国の国防費は以下となります。
- アメリカ・・約70兆円
- 中国・・約28兆円
- 日本・・約5兆円
アメリカと中国と比較しても圧倒的に日本の国防費は低いです。
これは、逆に言うと日米安全保障条約のおかげで、かなり低コストで日本は国防ができているということ。
これに対しトランプ大統領は「日本いつまでおれらアメリカに負担してもらおうとしてんだよ。もっと金だすか、それとも自分たちで国防しろよ。」と言っているわけです。

まぁそりゃそうだよね。
日米安全保障条約を盾に、ずっとお得に国防してるだけだから・・。
あとは、定期的に出てくる米軍兵が起こす事件。こちらも定期的に米兵による性的事件が起きるという問題があります。ただし、これら米兵が起こした事件を日本側で取り締まれるよう「日米地位協定」を改善したりと、日本側も地道に策は打っているのです。

まぁそうはいっても日米安全保障条約は「アメリカ有利」の不平等な内容だと言われています。

それはあるね。
ただ、日本側も大きなコストを負担してもらいながら国防してもらってるから、腰が引けて言いたいことも言えないのが現実だ。
本当の問題はこうした心理面にあるのかもしれないね。

たしかに、世話になってる人に何かをお願いされたら断りづらいですし・・。
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日米安保条約を破棄したら日本の未来はどうなる?

もしも日米安全保障条約が破棄されてしまったら、日本の未来はどうなっていくのか??気になるところです。
だいたい想定される未来は次の通り。
- 日本の国防費がめちゃくちゃかさむ
- もしくは、国防費に予算をつける=「戦争に向かう」と思っている人たちが騒ぎ予算がつかなくなる
- そうなると日本の国境線は弱体化し海から中国やロシアが侵略してくる
- 最恐の国アメリカと再び戦争になってしまう可能性が浮上する
もしアメリカがいなくなってしまったら、我々日本人は「国防」について本当にしっかり議論しなければいけなくなります。
国防は戦争をしない唯一の手段です。
というのも、永世中立国であるスイスは「国防」にめちゃくちゃ力を入れており、「徴兵制」もあります。
強い国だからこそ、永世中立なんて言ってられるわけです。

国と国とが「平和」を保つためにはこれが現実的な手段なんだ。

もし「国防」をしなくなり、憲法9条だけが残ってしまったら、他国にただただ侵略され殺されることを許すだけの状態になってしまいますね。

そうそう。だからあの戦争からずっと、日本が平和でいられたのは憲法9条のおかげなんかじゃない。正直な話、アメリカが国防してくれてたおかげなだけだってことかもね。

でもこの現代において、「侵略」なんて起きるんですかね?

実際に中国が日本の海域に毎日のように登場しているし、空だって領空侵犯が頻繁に行なわれてる。それに対して自衛隊が「これ以上こっちきちゃダメ!」って注意をすることが日常茶飯事で行なわれているんだ。
もし日米安全保障条約が破棄されて米軍がいなくなったら、今の自衛隊の数だけじゃそこまで手が回らなくなる可能性大だよ。
最後に、これはよく言われていることですが、日本が日米安全保障条約をガッチリと維持しなくてはいけない最大の理由は、「最恐の国アメリカと再び戦争にならないようにするため」というもの。
安全保障条約を結んでいる限りは、お互い戦争になることはありません。
ただし、安全保障条約がなくなれば、いつ戦争を仕掛けられてもおかしくない状態になってしまうのです。
第二次世界大戦で我々日本人はアメリカの最強さや最恐さを目の当たりにしています。
そんなイカれた国と、こんりんざい戦争にならないようにするためにも「日米安全保障条約」は絶対になくしはならないわけなのです!
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日米安全保障条約がなくなったら、かなりやばいよね。