2018年1月31日、札幌市にある自立支援施設「そしあるハイム」で火災が発生。
北海道警は1日、死者の数は11人にのぼったと発表した。


亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。
ところで、自立支援施設とは何ですか。

自立支援施設とは、都や県が運営している施設と、民間が独自に運営している施設の二つがあるんだ!
これらの施設は、ホームレス自立支援法という法律に則って運営されているんだ。
正式名称:ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
ホームレス問題に関して、自治体に責任を持たせた法律。
これにより自治体はホームレス問題について、解決に向けて取り組まなくてはならないという責務を負った。

もう少し具体的かつ分かりやすく説明してください。

う、うん!(聞いてる方なのにエラそうね!)
今回、札幌で起きた火災は民間の自立支援施設でした。
民間の自立支援施設の運営が悪かったから、という画一的な原因ではありません。
そこには公的施設と民間施設とでの、”受入れの差”という問題がつきまとっています。
自立支援施設とは
自立支援施設(通称:自立支援センター)とは、都や県が運営しています。
ホームレス状態を脱却してもらう為に設置された施設です。
民間で独自に運営している同じような施設も存在しています。
定義上、民間の施設は自立支援施設に該当しません。
ですが世の中では、主に自立支援を行っている民間の施設もひっくるめて「自立支援施設」と呼んでいます。

都や県が運営している自立支援施設は、「自立支援センター」と呼ばれることが多いよ!

「自立支援センター」。そちらの呼び方の方がかっこいいですね。
私が住んでいる東京にはどのような場所にあるのですか。

東京では、地域を5つのブロックに分けて、そのブロックの地域ごとに自立支援センターを設置しているんだ。

なるほど。
東京の自立支援センター(2015年~2020年)
第1ブロック:新宿区、千代田区、中央区、港区
第2ブロック:台東区、荒川区、北区、文京区
第3ブロック:目黒区、渋谷区、大田区、品川区、世田谷区
第4ブロック:豊島区、板橋区、杉並区、練馬区、中野区
第5ブロック:足立区、墨田区、江戸川区、葛飾区、江東区
都内23区を5つのブロックにわけます。
5年ごとに持ち回りのブロックが移動し、持ち回りの担当になったブロックの各区に自立支援センターが設置され運営されます。
施設の大きさはおおむね70名~80名程度の規模です。
自立支援センターの実質的な運営は、民間企業に委託されます。
・施設の管理や支援は委託された民間業者が実施
・運営費は都や県が負担
※生活保護費での支出ではないのです
自立支援センターの内容
大前提に、ホームレスやそのおそれがある方が対象になり、一時的に保護し支援をする施設です。
・役所の福祉課へ希望者自ら相談へ行く
・役所が行っている路上見回り相談で、希望した方が行く

日本の福祉は捨てたもんじゃないよね。
実はこうした公的な相談窓口は各地にあるし、路上で倒れているひとがいないか見回る福祉パトカーなんてのも走ってるんだよ!

とてもありがたいですね。
ただ、こうして教わる機会がないと、存在すら知ることが難しいというのがネックです。
・1日3食付き
・1日につき400円~500円程度支給される(支給日は毎週金曜日)
・入所時に生活必需品が支給される(部屋着・下着・歯ブラシ・タオル・靴など)
・入所中の医療費は全額無料(通院に必要な交通費も支給)
※飲酒や無断外泊の禁止
※基本的に大部屋(個室はなし)

結構手厚いですね。
これなら一生ここで暮らして生きて行けそうです。

そうもいかないんだ。
入所期間は最大で半年(6カ月)で、働く意欲(就労活動)がない人はすぐに施設を追い出されるのが現実だよ。
あと飲酒や無断での外泊は一発アウトってのがほとんどだよ。

結構制約が厳しいのですね。
まぁ就労して自立するために生活を安定させる施設ですから、当然といえば当然でしょうか。
これ全て税金でまかなわれているのですし。
入所者のその後
入所者のその後は様々です。
上記のように基本就労意欲がない方は対象者から外されます。
・入所中に仕事を決めて、アパートを借り自立
・入所中に寮付きの仕事を決めて自立
・就労活動をせずに、強制退所になり民間の自立支援施設へ移動
・規則違反をし、強制退所になり民間の自立支援施設へ移動
・共同生活が無理で自ら失踪

ホームレス状態の人たちの最後の砦かと思っていたのですが、よく見ると強制退所になった人は、民間の自立支援施設へ移動しているのですね。

そうなんだよ。
結局民間で独自にやっている自立支援施設が最後の砦だったりするんだよね。

福祉の世界って内情を知ると色々複雑なのですね。
まとめ
・自立支援施設は公的施設と民間施設がある
・都や県が運営している公的の自立支援施設の入所期間は最大で半年、就労意欲がなかったり、規則違反があると、強制退所になる可能性が高い
・強制退所になった人は民間の自立支援施設に入所することも多い
人間最終的には「強い意思」がその後の人生を左右する。
こうした業界にいると、その思いがとても強くなっていきます。
しっかりと支援を受けている間に、自立できるように強い意志を持って生活をしていかないと、その後もずっと支援を受け続ける考え方になってしまいます。
特にホームレス支援は、福祉が充実しているからこそ、がむしゃらさを生み出す機会損失を招いている側面もあります。
自立支援施設で火災だって!
北海道の雪道での消火活動はかなり大変そうだよね。